乾漆の歴史はたいへん古く、その源流は約2500年前の中国に遡ります。戦国時代、楚の国を中心に盛んに行われた漆器づくりの一技法です。
乾漆は、自由自在に造形ができることが何よりもの魅力。「うるしの人」として知られる大西長利氏の作品は、大胆にしてまろやかで繊細。特に漆黒と朱の色彩の対比は、実に見事です。
大西長利〜1933年 下関に生まれる。1959年 東京藝術大学美術学部漆芸科を卒業。乾漆技法の第一人者。「現代の名工」として知られる。
願船漆工房主宰。東京藝術大学名誉教授、世界漆文化会議議長
麻布を木、土、石膏などの型の上に張り重ね、その上に幾重にも漆を塗り、形をつくっていく技法が乾漆です。表現の自由度が高く、作家の感性を十分に発揮できる半面、その奥義を極めるのは非常に難しいとされます。中国では「夾紵(きょうちょ)」と呼ばれ、2500 年ほど前に隆盛し、日本に伝来したのは7世紀の初めごろ。その後、奈良時代に仏像彫刻や仏具に盛んに用いられ、興福寺の阿修羅像、唐招提寺の鑑真和上像などが乾漆技法の代表作として知られています。
大西長利氏は現代の名工として知られ、乾漆技法の第一人者であります。大西氏の使う色は、黒と朱が主。特に朱は「古代の色に近い」と評され、この研ぎ澄まされた色は大西氏にしか出せないと言われています。また、その黒はただ黒いというものではなく、さまざまな色彩が渾然と融け合ってできる幽玄なる漆黒。大胆で優美なフォルムのなかに、無限の美が刻まれています。
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